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【コウ】スピリチュアルと知性主義_16

南インドの都市チェンナイから約5時間バスに乗れば、かつてフランス領だった海辺の街ポンディシェリーに着きます。大部分がイギリス領だったインドでは珍しく、ポルトガル領だったゴアと共に、ポンディシェリーはその欧風な街並みで知られています。ベンガル湾に面した街は一年を通して気候が温暖で、打ち寄せる波を眺めながらビーチをぶらぶらと歩くのが、ここの地元の人々の夕暮れ時の過ごし方のようです。

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フランス領時代の建築物とビーチ以外に、ポンディシェリーが有名なものがあります。20世紀インド最大の宗教家の一人と知られている、オーロビンド・ゴーシュ。彼のパートナーのフランス人、マザー。この二人が生前に拠点を構えたのがポンディシェリーでした。オーロビンドは若い頃に政治運動のために捕まり、刑務所の中で宗教的な啓示を受けました。無罪釈放されてからは当時フランス領のポンディシェリーに隠れ、聖典の研究やヨガの修行を積んだのちに高い境地に至ったそうです。私がポンディシェリーに来たのは、オーロビンドとマザーの墓を訪ねるためでした。

オーロビンドを知ったのは去年の5月、数年ぶりにインド入りをした最初の都市、コルカタでのことです。コルカタの街を当てもなく歩き回っていると、大学生のための本が山のように積まれた本屋が所狭しと立ち並ぶ中、古びた小さな建物が角に立っていました。入り口の直ぐ側には年老いた白人女性のポートレイトが架けられています。階段脇にあった説明文を読んでいくと、フランス人の彼女は若い頃に日本を訪れ、その後に真理探求のためにインドにやってきたということでした。

階段を上がっていくと小さな本屋と事務所があり、部屋の奥には白い衣に身を包んだ白髪のインド人と、あの白人女性の大きなポートレイトが並んで架けられていました。私に気がついた事務所の責任者が、こちらに来るようにと手招きをしました。彼はこの二人の簡単な紹介をしてから、南インドにあるポンディシェリーを訪ねるようにと私に勧めました。その後に彼と私はポートレイトの前で30分ほど瞑想をしました。

このようにインドの神秘は予期せぬ街角で口を開けて、好奇心溢れる旅人を待っています。こうして私はオーロビンドとマザーの存在を知り、この1年後にポンディシェリーを訪れることになるのでした。彼の死後から既に70年近くが経ちますが、オーロビンドはインドで非常に有名な人で、各地で彼の名前には何度か出会いました。ただ、こうしてポンディシェリーを訪ねるまでは、自分との特別な縁のようなものは意識することはありませんでした。

(文責と画像はコウによる)

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