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【湧】意識のつながり

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 今年の世界の変わりようは激しかった。東西ベルリンの壁が突如として取り除かれたことに、世界中の人が度胆を抜かれた。また、南アフリカでは、初めての選挙が行われ黒人側が多数を確保するなど、地球上人間の住むいたる所が急変している。
 筆者もこのところ、海外に出掛けることが多かったので、行く先々で社会的な激動を体験した。北京には天安門事件の直前直後に訪れ、リトアニアでは独立運動の熱気が噴出していたし、アメリカインディアンを訪ねた時は、折しもローマ法王が過去のインディアンへの偏見政策を詫びるため訪米していたり、ペルーでもゲリラ活動によって旅行予定が変更されるなど、先々で思いもかけない社会変動に出会った。このような歴史の変化に人々の意識がついて行けるのかと心配になるほどだ。
 こんな話を聞いたことがある。過去に芸術や科学における創造発見で大きな変革が起きた時、遠く離れた所でお互いには何の連絡も脈絡も無いはずなのに、同時期に類似の変化を起こしていたという。地球を一つの意識体であるとみなす発想からすれば、当然なのかもしれない。
 近ごろ人間と地球や宇宙を一つの連続意識体と考えざるを得ない現象が多い。とすれば社会現象の変化と同時に、われわれ個体の意識も二重奏のように同時進行で変容が起こっていても不思議はない。いま経済、社会学者は根本的なところで法則が見失われ、とまどっているというが、世界で起こっている現象を見るよりも自分の内面をじっくり味わってみる方が早くて正確にとらえられる時代かも知れない。「湧」の来年のテーマは「自分になる」となった。(MM)(月刊「湧」1989年12月号再掲)