『湧』<blog magazine> nishitakesi

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【チベッタン・ヒーリング:梅野泉】No13_毒を美しさに、毒を薬に、という変容の驚くべきパワー。タントラ。

五大元素の感覚を取り込んで生きていると、とてつもない自由を感じるのです。そして、チベット仏教の師たちが醸し出している軽妙洒脱な雰囲気というものが、ますます近しいものとしてまるで山や谷、雲や空のように、目のまえに展開する大自然の絵巻物のように見えてきます。師たちは、人間としての顕われを持った大自然であるかのような感覚を覚えるときがあるのです。

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伊勢神宮でのターラダンス奉納

二チャン・リンポチェとの詩の掛け合で、リンポチェがお心のままにチベット語で歌をうたわれた時がそうでした。「赤い小鳥さん、赤い小鳥さん、幸せの歌をうたっておくれ、みんなが自由に空を飛べるように、森の奥で無明の闇の中で眠る子供たちのために目覚めの歌を!」と詩のなかでお願いしたところ、それを受けて,まるでその場が昔のチベットの大草原かと思わせるような歌の風を吹かせてくださったのです。あとでお聞きすると、この歌はニンマの大学者にして聖者、ジグメ・リンパの書かれた詩領で、内容は「前世よりの仏縁あってここに集うものたちよ、孔雀のように美しい羽根を広げて舞い、仏法僧に捧げん」という大変吉祥なる歌だということでした。
孔雀と聞いたとたん、わたしは、とっさに、そうか!と思いました。なぜなら、孔雀は毒を食べるからこそ、あのように美しい羽根をもつ、と言われていることをゾクチェンのマスター、ナムカイ・ノルブ・リンポチェから聞いていたからです。これは毒を美しさへと変容させる、というタントラの象徴的な意味です。つまり、タントラでは煩悩という五毒を悟りの智慧へと変容させる!五毒を五智へと変容させるのです。なぜそのようなことが可能なのか、と考えると、煩悩も悟りの智慧もその成り立ちは五大元素だから、ということに思い当たります。五大元素が乱れているか、バランスが整っているか、の違いなのです。
この歌では、「孔雀のように美しい羽根を広げて舞い」というのですから、五智を完成させ、舞うということ。その智慧を生きとし生けるものを救うために活用し、行動し、そしてすべてを仏法僧に捧げる、という大変に深い意味です。これは美しさを見せるために舞うのではない。悟っている故に,エゴはすでにないのです。自らを無きものとして舞うのです。たとえ、悟っていなくても、仏法僧に捧げるという気持ちですべてを為すとき、自分のいる場所は清らかな世界となります。
毒を薬に変容させる、という喩えは「ターラ21尊礼賛経」のなかにもあります。ターラ菩薩には21の顕現があり、それぞれの特性があるのですが、そのなかに「毒を薬に」というターラもおられるのです。ほかにも「素早く守る」ターラ、「執着を打ち砕く」ターラ、「豊かさを分け与える」ターラなど、素晴らしい資質を感じ取ることが出来ます。
ターラは女性の姿をとって悟られた特別な菩薩であることから、女性の内的資質の成長と女性性の解放を願って、ダンスを通してターラを学ぶ特別なグループがあります。
このターラダンスを日本に伝えてくれたのはオーストラリアのフェリシティという女性で、30年来の素晴らしい友人です。彼女から「ターラ21尊礼賛経」をもとにした歌の翻訳とダンスの通訳を頼まれたのが日本でのターラダンスの始まりでした。
ターラダンスは、世界中のターラダンサーによってダラムサラのダライ・ラマ法王の王宮前の広場でも奉納され、カルマパ17世にも捧げられました。
日本でも大島の三原山を皮切りに、天河神社、戸隠神社、そして伊勢神宮と多くの聖地を巡り、舞い、奉納の儀を執り行ってきました。
帰依、発菩提心からはじまり7つの心の浄化、そして最後の廻向、と仏教として学ぶべきベースが網羅されたダンスですが、なんといってもその醍醐味は、自らがターラ菩薩そのものへと変容してターラに成りきり踊ることにあります。
変容、というタントリックなエネルギーのダイナミズム。それがシェアできる貴重な場をターラダンスは創りだしています。
ご案内:
9月22日、フェリシティもオーストラリアから参加してのターラの会が開かれます。
午後1時30分~5時、その後、Welcome Felicity !ターラシスターズ歓迎パーティとなります。会場は京王線府中駅隣接のビル6階和室です。あらためて、fbにご案内をシェアいたします。

チベッタン・ヒーリング―古代ボン教・五大元素の教え

チベッタン・ヒーリング―古代ボン教・五大元素の教え

  • 作者: テンジン・ワンギェルリンポチェ,Tenzin Wangyal Rinpoche,梅野泉
  • 出版社/メーカー: 地湧社
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 単行本
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