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【湧】人間の自然能力No8

「人間の自然能力」と題し、特に体に焦点を当てて考えてみました。既成の概念に最も左右されがちな意識から解放された体と、直に向き合うことの体験をご紹介していきます。

〈出席者〉竹居昌子 永沢哲 今村有策 家村佳代子 増田正雄本誌

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永沢  今のお話との関連からいうと、野口先生の考え方で非常に大事なことは、胎児から始まる主体性を尊重するということなんです。
 子どもはある意味で選んで生まれて来ていると思います。実際に受胎したとしてもその50%は生まれて来ない訳ですけれど、その中に、淘汰の問題という言葉で表現することがうまくできないような何らかの場の構造の問題とか。生まれてくるかどうかも含めた主体性の発現があるのではないかと思うのです。
 特に、考えたいことは、人間は自然の関係を作り替えて今まで生きてきているわけで、その中には、自らの内なる自然ということも含まれます。しかし、それを抜きにして考えていった時、もともと子どもは主体的かつ創造的な人格として存在し、いろいろの選択を一瞬一瞬やっているわけです。その一瞬一瞬やっている選択の仕方そのものは、その子の責任だけれども、問題になってくるのは、僕らかおる特定の反応パターンみたいなものをもっているとすると、その反応パターンによって歪められたコミュニケーションの様式によって、子どもと応対していくようになるということがあると思う
のです。そして、そのことによって僕らは、その特定の反応パターンを子どもの世代に継続させてしまう可能性が大きいということです。
 そういう意味において、子どもの人格、主体性をどう尊重するかか、非常に大切になっている。もちろんそれは、その子のもっている力とか意志の問題にかかわっているわけで、そういう歪みをはね返していく力も、主体性や人間の自然ということの中に含まれています。子どもがそれを受け止めながら、自分の力を十全に発揮できるかということが、すごく大事な問題ではないかと。僕は思っているのです。

竹居  それが野口先生に言わせると一言で、天心という言葉が出てくる。

 天心に近い状態になるにはどうしたらよいか、例えば呼吸法とか具体的に教えられますが、それは個人的なものから抜け出し、我欲から離れて何もないところ、生まれた時の心、これを先生は天心と呼んでいます。それは意識以前の問題ですよね。それを私たちが感じ取れるかどうかということです。

 お腹の中に居る時も、赤ちゃんは自分で生命を維持していくために、都合の悪いことがあるとシグナルを出します。それがわかるようになると、赤ちゃんと対話ができるわけです。姿勢が惡かったのかとか。今のはやめてと言っているから、やめようとか、もう食べないでというシグナルで、もう食べないとか、そういうことはいろいろな知識や意識があると、汲み取れないのです。ポカンとしていれば「ああ、そうか」とわかるけれど、勉強していろいろなものが意識に詰め込まれて固定観念が入っていると、それが聞き取れなくなっているわけです。
 もともとあるその能力が感じられて、それで動けるようにと活元運動があるのですが、楽になるように楽になるように動くというのでは、それは意識運動です。それは識別の世界の運動です。でもそうやってふらふらちんたらやっているうちに、時に体はふっと本当の動きというのを出してきて30年やって初めて活元運動というものは、こういうものかとむかったというような、そういうものが必ず出てくるのです。
 人間の運動系には二種類あって。体路系と錐体外路系の運動に分けられると言います。錐体路系の運動は意識して動かすことができる系統のもの、外路系の運動は、無意識で動く運動、即ち、意志で行う運動ではないということです。あくびとかくしゃみもそのたぐいですし、寝枢も同じだと野口先生は説いておられます。この外路系の運動が生命を保つ上で重要な役割をしていて、それが大部分を占め、意識して勁かすことができる部分はごく一部だと言えます。手を当てて行う愉気も、活元運動の延長線上にある
ものと考えてよいと思います。生命か持っている自然な営みが発揮されるように活元運動や愉気をするのです。
 生命というものは、気が集まっていなければ育たない状態にあるらしいですから、赤ちゃんの問題というのは、固定観念に縛られてさえいなければ。そのシグナルにすぐ反応するような、非常に確かなコミュニケーションというものがもたれて、親の気が抜けていると、赤ちゃんか存在を示すようなシグナルを送ってくるのです。それを。何だろう、この子いやに暴れると言ってそこに気を集めない、あまり暴れるとお医者さんに行くような親が多い。見当外れですよ。
 ここにいるよと、存在を示す動きで、ごめんなさいね、といって話しかけるよ
うにする中で、刻々と教えられる事が多いわけです。ですから。他のことに気を
とられていなければ、お腹に赤ちゃんが居る時が、女性が一番成長する時なんで
す。命が育まれるということを自分の体で体験して、「人聞て、なんてすばらし
いのか」という感じが出てくるはずなんです。それがずっと続くわけでしよ?

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