【チベッタン・ヒーリング:梅野泉】No11_風の話をしよう。風のように速い緑ターラの話をしよう。
願えば、風は吹く。窓を開ければ風は吹きこむ。
願うということは、心の窓を開けるということです。
自分ばかりに意識が向かっていると、窓を開けるということも忘れてしまい
心に新鮮な空気が流れてきません。
そういう状態が続くと酸欠です。
ときとしてぎりぎりの状態まで気が付かないときがあります。
そこで、もう駄目だ、となって助けを呼ぶ。
助けを呼ぶというのも勇気がいります。
自意識を振り払う勇気です。
若い頃は、助けを求める、など、思いつきもしませんでした。
自意識でがんじがらめに自分を守り固めていたのです。
そういう時代の風が吹いていたのです。
渋谷や新宿のジャズ喫茶に背中を丸めて入りびたり
自分を閉ざしていることが行動や姿勢からもたやすく読み取れる
窓の閉じ方でした。
酸欠となり多くの苦しみを舐め、失敗をしてきました。
最も苦しいさなかに,まるで事故のように出会ってしまったのが
来日中のチベットのラマだったのです。
そこで、風穴があいたのです。
まさに、風穴でした。
頭頂部に穴が穿たれ、意識の窓が開かれたのです。
その窓が、風の通り道となりました。
五大元素のなかで、風は4番目に数えられます。
地水火風、そして空の順。
地はいかにもどっしりとした重さ、安定感を感じさせ、
風は自由自在で軽やか。
風の元素は色で言えば緑。
日本語でも緑の風、緑風というように、風は感覚的にも緑なのですね。
緑ターラはこの風なのです。
呼べば風のように素早くあなたのもとに来てくれる。
森に行くとき、私はいつも緑ターラを意識します。
緑の木陰にくつろぎながら、淡い緑から深い緑まで
さまざまな緑が風に戯れてキラキラ揺れているのを見るとき
光の粒となって無数の緑ターラが雨のように降ってくるのを感じるのです。
風がぴたりとやんだときなどは、風のマントラで風を呼び寄せます。
すると、すぐさま近くの樹の葉が、最初はかすかに、
それからだんだんに大きく揺れ始めて、私の頬をかすめてゆき、
風が起きたことが分かるのです。
そんなときも、風の元素と、緑ターラに感謝します。
チベットでは、ターラはすべての仏の母として、
観音菩薩の涙から生まれた娘として、
女性の姿をした菩薩として、
大変な信仰を集めています。
ターラへの信仰によって救われたという奇跡も身近に耳にします。
緑ターラはすぐに、いつでもどこへでも駆けつけることが出来るように
右足を下におろした姿勢で描かれています。
ターラには21尊ターラがそれぞれの特性で顕現されており、
その代表格が緑ターラ、そして白ターラの2尊です。
21尊ターラは五大元素の現れてとして、その強弱により、さまざまな働きを成就されます。
緑ターラは、風の働き。
風を感じながら、緑ターラを身近に感じてみると、暑い夏も心涼しく乗り切れそうですね。
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