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【湧】後始末

 

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 この夏は全国的に大雨の涼しい日が続いたが、アメリカでは逆に猛暑の干ばつで農作物がとれなくなっており、今年は地球規模の異常気象だという。北半球の気圧配置をみると、ちょうど北極を挟んでシーソーがアンバランスになっているような状態にある。しかし自然のバランス作用は人間の思惑を越えて、一時的には禍いに見えても、長い歴史の流れからみれば次の世代の恵みになってきた。流し、壊し、埋め尽くし、腐敗させ、風化する、という死への誘いも、次の生への準備となる。人間が気付こうが気付くまいが大自然は後片付けをし、準備をしてくれてきた。
 以前、私は親元を離れひとりで暮らすようになったとき、夜帰宅すると片付いていない部屋を見てがく然とした。斜めに置いた座布団は斜めのまま、座布団が自分で歩いて部屋の隅に片付くことは決してない。こうしていままでは家族の誰かが始末してくれていたことに気付いたものだ。人類はとうに自然という親元を離れ独り暮らしを始め、誰も片付けてくれるひとがいないのに、あいも変わらず散らかし放題をしている。今や壊れたり腐敗することのない廃棄物、回収不可能な大量の炭酸ガス、生命を保護している上空のオゾン層を破壊するフロンガス、そして核汚染物質など自然の力では手に負えないものが溢れている。このまま進めば人間は環境保全のために大きな負担を背負い、病と重税に苦しみながら日々重労働に明け暮れするようになることは明らかだ。しかし大自然の力は計り知れない。思いもかけない解決能力を人間にセットしているかもしれない。 (MM)(月刊「湧」1988年9月号再掲)Michael GaidaによるPixabayからの画像