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【湧】日本国憲法の時代

~日本の誇る憲法~

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 先日、鹿児島の盛泰寛さんという方から、日本の憲法の条文を思い切って並べ替えをして再編した、カセットテープがとどけられた。それを聴いて、憲法の条文がこんなに心に響くものであったのかと改めておどろいた。それは何故だろう。盛さんの編集の巧みさにもよるのだろうが、やはりそういう時代になったという実感が大きい。

 そんなことを考えていた今日、その思いを拡大するようなテレビ報道があった。アメリカのレーガン大統領が核兵器軍縮会議のためにモスクワ入りする模様が画面に現れ、出迎えたゴルバチョフ書記長の挨拶の第一声が「今や人類は運命を共有している」という言葉であった。短いメッセージの中でこの言葉を二度使っている。核兵器を大量に抱えている彼等がその恐ろしさをもっとも良く知っているからであろう。それだけではない、経済も情報も核汚染もとめどもなく国境を越えてしまい、腕力でバランスをとることに限界がきていることも承知のはずだ。

 もう十年も前になるが、私は葉山の海岸に住んでおられた羽仁説子さんをおたずねして、憲法の草案が作られたころの話を伺ったことがある。戦後、憲法制定の時、羽仁さんは市川房枝さんらとともに夜を徹して草案作成の作業にあたった。「歴史上初めて腕力を前提としない国家が誕生する」その時の興奮を再現するように羽仁さんはお顔を紅潮させておられた。それから十年、世界環境は急変した。腕力主義を排した日本の憲法が、政治や思想の変化に先行して、生活実感としてはっきり人々の意識に捉えられる日がきている。 (MM)(月刊「湧」1988年6月号再掲)Markus SpiskeによるPixabayからの画像