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【湧】女人味

~21世紀になった、今、女人味はあるのだろうか~

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 最近中国で知り合った女性新聞記者の蘇敏さんから一冊の中国の若い女性向け雑誌が届き、そこには彼女が書いた記事が大きく掲載されていた。その記事はある日本女性との出会いを契機として、蘇さん自身が女性の魅力について思索したものである。
 蘇さんは今年の五月に中国各地で行われた日中国際親善の熱気球飛行に随行記者として参加した。この時蘇さんは、日本チームの中にいた同年輩の女性Kさんが、中国の女性とは異なった雰囲気を持っていることにある種のカルチャーショックを受ける。激動の続いた中国では、論理性、攻撃性という男性的な傾向を身につけた女性が輩出した。それに対しKさんは、日本の女性としてはごく当たり前と思われることだが、出会うたびに軽く会釈したり気さくに話しかける。またある事件をめぐって感情的な態度をとった蘇さんに、Kさんは理詰めの批判でなく優しい行き届いた助言を与えた。このような出会いを中国女性の蘇さんは憧憬をもって受け入れ、丹念に考察する。蘇さんはいう、「その時代のその社会の姿は女性の立ち居振る舞いの上に現れる、Kさんの態度は儀礼的でもなく、作った媚や可愛らしさでもない、なんともいえない魅力(幽幽的韻味)でありそれこそ女らしさ(女人味)である。彼女の背後にはそれを培う何があるのだろう」と。男性も例外ではないが女性はあなた好みに作られる。そのあなたは男性であったり国家であったり、あるいは文化であったりするのだろう。
 蘇さんは自分の詩作を出版している詩人でもある。その詩人の目は国家や文化のあなた好みでなく、もっと自由な解放された人間の深い魅力まで探りたがっているようにみえる。 (MM)(月刊「湧」1987年12月号再掲)Vihar AndonovによるPixabayからの画像