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【湧】未病を治す

~未病を治すためには、体と心のケア~

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 梅雨の時期にはからだの不調を訴える人が多くなる。そのせいか、この季節は健康診断も多い。ある大企業の知人に聞いた話であるが、忙しい部長職にあるこの知人は、毎年の健康診断で血圧異常や胃炎、尿たんぱく過多などの症名、病名をつけられ、投薬や加療をすすめられるという。そこである年一計を立て、健康診断の直前に長い休暇をとり、勝手気ままな生活をしてから診断を受けてみた。すると結果は健康度満点。これに気を良くした彼は自分のからだに自信をもち、世の中にはめったに病気なんて存在しない、殆どが一時的な生活症状なのだという考えを持つようになり、病名をつけられる前に平素の生活を整えるようになったという。名医は未病を治すというが、彼は自ら自分の名医になったわけである。

 さて、こんな話を思い出しだのは、実はこのところ(1987年)中国と日本の間で「光華寮問題」や外務省の失言遺憾表明など暗いやり取りが続いているからである。この問題はどうも末梢的な言葉じりの応酬に流れている嫌いがあるが、よく見るとその根が深い。外交の次元の対症療法だけを考えていては、治癒することはおろか重い病気に進み、取り返しのつかないことになってしまいそうである。この際中国の鄧主任をお医者さんに見立てて、日本の国の健康診断をしたらどうだろう。日本が主張する「三権分立制」の健康度、軍事費の肥満度など病名はいくつつくだろうか。
 組織や機関は病いをひき起こしたり治療したりはするであろうが、生活そのものを工夫して国の未病を治し続けることの出来る名医は国民一人一人しかいない。 (MM)

(月刊「湧」1987年7月号)