【パウロ・コエーリョ】夢に向かって進むー錬金術の極意_2
今回は「錬金術の意味」です。「アルケミスト」で世界的に有名なパウロさんが、東京で行った講演をまとめたものです。
(miqui saitoによるイラスト)
- なぜ人は旅をするのか
- 錬金術の意味
- すべてのものは繋がりあっている
- 兆しが語る言語
- 自分の運命を生きるとは?
2.錬金術の意味
錬金術というのは、紀元600年くらいから知られるようになった術で、主に実験室のようなところで研究されていたのですが、そこで行われていた作業というのは、ふつう金属-よく言われている鉛ではないかもしれませんけれど、その金属を煮沸したりさまざまなプロセスを経ることによって純度を高めていくものです。つまりその物質の中に含まれていたその他のすべての物質を排出していくのです。何日も何週間も何年もかけてめるという努力をしているのだということと、ほんのふさい部分、小さなものの純度を高めることによって、これはその他の大きな部分に影響を与えることができるということでした。
そしてよく考えてみますと、私たちは実際毎日の生活の中で、こういったプロセスを自分でも繰り返しているのです。このことは今私がお話ししてきた旅の話と矛盾しているとお感じになる方もあるかもしれません。毎畷特定の時間に仕事に行き、眠りにつき、そして目覚める。けれども、私たちの生活というのはまったく同じであることは決してあり得ないわけです。それがわかれば、自分が毎日自分の純度を高めるというプロセスを行っていることがわかっていただけると思います。同じ環境で同じ状況にいようとも、まったく同じことを繰り返しているのではなく、現在の時点ではその先のことはまだ未知で神秘的なままであり、何かの点に向かって、私たちは旅を続けているという見方ができます。
人生とは出生から始まり死によってある一つの終わりを迎える旅ですが、これは非常に神秘的な魔法に満ちた旅です。なぜなら、私たちは自分はここにいて何をしているのかという、人生の根本的な問いかけをしつづけているからです。
私自身.人生の中で何人かの師とよべるような人と会っていますし、ある宗教に参加してみたりしたこともありますか、そういった経験から私か一つ理解したことは、本当に偉大なマスターというものは自分がここで何をしているのか、本当は自分は知らないのだということをはっきり言うということです。もちろん偽の師ならば、皆さんに対して、宇宙はどういう形で創造されたとか、なぜ私たちがここにいるのかということを詳しく教えてくれるかもしれません。しかし、それはまったく重要なことではありません。それらは単なる説明であり、本当の現実というものではあり得ないからです。
生きていくということは実は一つの神秘なのだ、謎なのだということに対して、私たちは敬意を払わなくてはいけないと思います。私たちはこれについて本当に理解することは決してないかもしれません。けれども、なぜ自分がここにいるかということは理解できなくても、なぜか自分のためにあった一つの道を満たすことはできるわけです。
地湧社の月刊誌『湧』(1996年12月号)からの再掲(文責は地湧社編集による)(miqui saitoによるイラスト) 川瀬勝・通訳
※次回より毎週土曜日に掲載します。

- 作者: パウロコエーリョ,Paulo Coelho,山川紘矢,山川亜希子
- 出版社/メーカー: 地湧社
- 発売日: 1994/11
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