~トンネルの向こうにあるのは?~

3歳まで住んでいた祖母の家の近くに古いトンネルがあった。
踏み入って半ばまで歩いたところででたらめな声を出すのが好きだった。
おわんおわんというような反響にゾクゾクしながら、行こう、とせがんで何度も祖母に連れて行ってもらった。
ひとりでは行けないビビリだった。
トンネルが異界との境界であるなら、もとより異界に片足を踏み入れている子どもがそれを好むのは自然なことだ。
引っ張られなくてよかったと言うべきか。こんな大人になったのはそのせいか。
(ポエタロガーデン 再掲)PexelsによるPixabayからの画像