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【パウロ・コエーリョ】夢に向かって進むー錬金術の極意_1

アルケミスト」で世界的に有名なパウロさんが、東京で行った講演をまとめたものです。今回は「なぜ人は旅をするのか」です。

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  (miqui saitoによるイラスト)

  1. なぜ人は旅をするのか
  2. 錬金術の意味
  3. すべてのものは繋がりあっている
  4. 兆しが語る言語
  5. 自分の運命を生きるとは?

1.なぜ人は旅をするのか
 私は皆さんと同じように普通の人間です。ごく普通の人間が、本を書くことやそのほかさまざまな体験を通じて、自分が現在ここにいる本当の内面の意味ということをわかろうとしているわけです。そして私はこの発見をするために旅をすることを選んだといえるかもしれません。旅というのは非常に神秘的な、あるいは宗教的とも言える意味合いを持った体験です。旅においては私たちは自分の表面的な人格を見据え、その向こう側、内面にある新しい自己というものを発見しなくてはならないからです。

 旅というものは自分にさまざまな変化をもたらします。最初の大きな変化は、私たちがふだん馴れ親しんでいる物質的な生活から自分を切り離していかなくてはならないことです。その過程で自分が持っていく荷物を本当に最小限に切り詰めていくと、その結果自分が生きていくためにはほんの少しのものしか必要ないのだということがはっきりわかります。これは非常に大事な体験です。

 二番目に訪れる変化というのは、人々とのコミュニケーションの方法です。なぜかといえば、旅をする時にはいつも外国語を通じて意思を伝えますので、自分の考えを非常に単純化し。本当に簡単な言葉で相手に伝える必要があるからです。その過程で自分もやはり単純なものになっていきます。

 さらに旅では、普通の生活ではまったく接触のないようなさまざまな人々との関係がおこります。なぜならまわりの人だちからの情報が必要ですし、助けも必要になるからです。まわりにいる人たち誰とでも話をしなければなりません。すると通常ではできないような発見をすることができるようになります。

 こうして、自分がどんどん単純になっていくその過程で、自分は内面の奥ではいつもどんな人々とも話す準備ができており、何か新しい体験をする準備ができているということがわかり、さらに自分に人を信頼する必要があるということがわがってきます。そして私たちは通常考えているよりもお互いに本当に親しい近しい間柄なんだということがわかってきます。まわりにあるさまざまなこと、さまざまな人々に信頼をおくというのは言ってみれば一種の信仰、自分を本当に信じなければいけないという行為です。

 現在、日本語に翻訳されている私の二冊の本は、旅を主要なモチーフとしています。主人公はまわりの人々や自分自身に対する信頼を持つことによって、自分の道を見つけ出します。何か師、グルといった人によって宇宙に関する高次の理解を得るのではなく、自分からそれを見つけだすということを主なテーマにしています。そして、これまでに書いてきた言葉もこれから書くこともすべて、私が言いたいことというのは、物質的な面での行動、つまり旅をすることによって、自分の中に精神的霊的な変化か訪れることがあるということです。それが私か本を書く意図です。これはまさに、錬金術の本質であるわけです。<来週水曜日に続きます>

(月間 湧 再掲)miqui saitoによる画像 川瀬勝・通訳

アルケミスト―夢を旅した少年

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