『湧』<blog magazine> nishitakesi

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【湧】伏流水

 ~朝鮮は苦労の歴史なんですね~

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 河川を下る水は、表面の流れのほかに地下をかくれて流れる伏流水という別の流れがある。
 伏流水は音もなければ、見ることもできない。
 韓国に咸錫憲(ハム・ソクホン)という八十歳を過ぎた思想家がいる。咸氏は、数年前に世界各国の精神指導者を招いて開かれた「九月会議」に来日して、独自の歴史観を語っている。
  それは、人類の歴史の伏流水ともいうべき史観である。
 咸氏によれば、「韓国の歴史は、いわゆる栄光の民族の歴史というものはほとんどない、他国から侵略され続けた失敗の歴史である。これをそのまま若い人に教えたのでは、悲観させるようなものになってしまう。それで考えたあげく、ひらめいたものがあった。人類の救いとして、即ち、意味として歴史をとらえ直せば、いじめられた民族の苦難の姿は人間の救いになる。恥ずべき失敗の歴史が、かえって世界を蘇生させるような意味を持つ時代が來ているのではないか。なぜならば、今まで続いて世界を支配しようとしていた大国主義が破れつつあり、もうこれ以上もち続けることができないことが明らかになっている。後ろの方に遅れていたものが、廻れ右して逆の方に進めば先頭になる。」という。
 この「九月会議」の記録は“世界精神指導者緊急の集い”という副題をつけて思草庵から発行されているが、主宰者である押田成人神父はいま、赤貧の中でこの英訳版の刊行の遅れに心をいためておられる。  (MM)

(月刊「湧」1986年5月号 再掲)