『湧』<blog magazine> nishitakesi

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【湧】見えない横縞の世界

~縦縞ですが、私は有害に囲まれた生活です~

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 ある女性の学者がこんな実験をした。部屋の壁や調度品一切を縦縞に塗り、その中で生まれてまもない子猫を育てる。猫が大きくなったとき、今度は、部屋の中を一切横縞に塗り替えてしまう。 … するとどうなるか…この猫は、部屋の壁や調度品があたかも存在していないかのように振舞い、歩くたびに激突してしまって全く生活不能となる、ということである。事物と認識との関係を考えるのに格好の話である。

 食生活の荒廃が叫ばれて久しい。荒廃という横縞の壁が見えなければ何度でも衝突して心身の健康は損なわれていく。本号に登場されている丸山博氏や馬淵通夫氏は、食と健康についてその問題のありかを長年指摘し続けてこられたが、気付く人が少ないらしい。さぞ歯がゆいことであろう。

 有害な食品添加物、過剰な農薬使用、合成洗剤や核物質に至るまで、生命にとって危険かつ重大な問題は、みな、見えない横縞模様で描かれているのだろうか。

 熊本県の養生先生、竹熊宜孝氏は、いまの学校教育では生命に関する基本的な教育がほとんど行われていない、と指摘しておられる。先の子猫の育て方の話に当てはめれば、現代は、縦縞一点張りの偏った情報によって真実を見る目をくらませる生命軽視の社会といえまいか。

 このようなことをいうと、よこしまな考えだ、といわれる世の中になってしまったのかもしれない。(MM) 

【月刊「湧」1986年2月号 再掲】