地湧社『湧』<blog magazine>

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【紅露工房便り】甘いかおり ~西表島より~

こんにちは。

 

昨日工房では、夕暮れ時の少し涼しくなった頃に、若夏の鳥アカショウビンの鳴き声が聞こえました。

キュロロロという瑞々しい声が心地よく、糸の細かな作業で張っていた気がほぐれ、良い気持ちで1日を終えることができました。


こちらは庭に咲いていたフトモモのお花です。ここではフードとも呼ばれているそう。

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このお花も、見ているだけでふんわりとした気持ちになります。どんな実がなるのか楽しみです。


初回で紹介したピタンガは、毎日食べても追いつかないぐらいの勢いで実が成り続けています。工房の隣で塩を作っている方が、ピタンガとパイナップルでジャムを煮てくださいました。

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ジャムができた数日後、たまたま別の方が手作り酵母パンをおすそ分けしてくださったり、シュークリームの差し入れがあったりと、お茶会日和が続いた工房でした。

(文責と画像は紅露工房のスタッフによる)

 

西表島・紅露工房シンフォニー 自然共生型暮らし・文化再生の先行モデル

西表島・紅露工房シンフォニー 自然共生型暮らし・文化再生の先行モデル

 

 

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【湧】「明鮑(ミンパオ)」の島

~今や、国力は逆転、”元” 強し~

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 長崎県五島列島の北端に、小値賀島という人口五千人ほどの小さな島がある。

 ここは、近隣の島々の中では珍しい平坦な島で、米をはじめとする農産物が豊富に穫れ、それにも増して周囲の海は魚介類海産物の宝庫である。島民の努力によって松の木なども失われることなく、風光明媚で天然自然に祝福された幸せな島である。

 この島を訪ねて、ことに私が興味を抱いたのは、この島独特の「鮑」漁である。その漁法は、若い男が素もぐりで重りを抱えて海面下十七ひろ(約二十五〜三十米)の深さまでもぐり、適当な大きさになった鮑を袋につめて浮上する。採取量は厳密に制限されている。獲れた鮑は、釜ゆでしたあと、夏至を挟んだ強烈な太陽の下に四十日間哂される。こうしてできた鮑は「明鮑」と呼ばれて、大半は中国に売られてゆくという。この中国向けの逸品「明鮑」がいつ頃から中国に出荷されていたかは定かではないが、一説によると秦の始皇帝(約二千二百年前)が不老長寿の薬として珍重したものの一つと言われているから、あるいは二千年続いてきたのかもしれない。今の中国は外貨が少ないから、超高価のこの「明鮑」をかなりの犠牲を払って仕入れていることだろう。国家体制や貿易の流れが大きく様変わりした今日でも変わらず続いているこの取り引きには、今の経済原理をはるかに凌ぐ大きな力が働いているのかと思うと、まやかしの価値に駆遂されない自然生態系のしたたかさを見る思いがして痛快である。

 だがこの島にも今、自然破壊の波があらゆるものに姿を変えて押し寄せている。「明鮑」よ、永遠に健在であれ。 (MM)

(月刊「湧」1987年8月号 再掲)Design n PrintによるPixabayからの画像